一般社団法人日本意思決定支援推進機構
(意思決定サポートセンター)
設立の趣旨
我が国は世界でも類を見ない超高齢社会に突入しており、地域で暮らす高齢者の数は増加の一途をたどっています。そのような中、認知症にかかるなどして医療や住まい、財産管理などについて自分で判断することが難しくなった方々が、詐欺被害にあったり、うまく自分の財産を使えなくなったりして地域生活が破たんしてしまったりすることが起きています。こうした状況を鑑み、「高齢者の地域生活を健康時から認知症に至るまで途切れなくサポートする法学、工学、医学を統合した社会技術開発拠点(Collaboration center of law, technology and medicine for autonomy of older adults; COLTEM)」プロジェクトを、科学技術振興機構の助成を得て開始し、高齢者の権利擁護と適切な意思決定支援のための研究開発およびサービス提供のためのシステムをつくり上げることを目指して研究開発を行ってまいりました。
これまで、医療従事者、介護福祉関係者、行政関係者、民間企業の方を対象に意思決定支援に関するトピックをテーマとしたセミナーを開催してきました。また、金融機関への普及啓発活動と認知症の人に対する対応力向上を目指し、医学、法律、介護・福祉の専門家及び金融機関、民間企業が協働して、金融機関向けに認知症高齢者への対応方法を学ぶためのガイドを開発し、当ガイドを用いた金融機関の行員向けの研修を実施しました。国内のみならず、国際アルツハイマー病協会国際会議へのブース出展や学会発表などを通じて、海外に向けても情報発信を行っています。
今後は、これまでの当プロジェクトでの取り組みを布石として、種々の意思決定を支援するための技術やサービスの検証に関して、さらに発展させ継時的に推進していきたいと考えています。この度、一般社団法人として設立するに至ったのは、社会的にも認められた組織として、意思決定支援に関する収益事業を展開していく必要があると考えたからです。
法人化することによって、当組織を発展、確立することができ、意思決定能力の評価法と意思決定支援方法の開発とサービス提供、普及啓発活動を通して民間企業や行政、医療機関の意思決定支援の質の向上を図り、意思決定能力が低下した人の権利擁護と福利に資することができると考えています。高齢者本人と本人を取り巻く社会双方が、安心かつ安全に契約や経済活動などの意思決定活動を円滑に行える社会の実現に向けて、多くの方々にご賛同いただければ幸いです。
平成30年6月吉日